ベンチャー企業転職は盛んに行われるようになってきた。その背景には、ベンチャー企業の幹部として経営に携わりたいというニーズが多い。
自分で起業するほどのアイデアはないが、大企業で出世を待つよりも早い段階から経営経験を積みたいというニーズだ。こうした役員ニーズについて考えてみた。
Contents
ベンチャーの創業メンバーになるのが簡単
取締役になるには、ベンチャーの創業メンバーになって最初から役員になることが最短だろう。
ただし、最近のベンチャーは取締役の人数を減らすという正しい選択をするところが増えてきたので、創業メンバーでも取締役ではない人が多い。
また、創業時に取締役になる際は、株式を保有することになるため出資もすることになる。お金がない人には厳しい。
そして起業する優秀な人に認めてもらうのも大変だ。そのため、簡単と書いたがそれほど簡単ではないかもしれない。
年齢も重要
最近は、経験が浅い、年齢の若い経営者のベンチャーにも資金が集まるようになってきた。
CEOと、COOやCFOが10歳以上(特にCOOがCEOより上)離れてくると、上手くいかないイメージだ。
これは例外も多くあるが、CEOの相談役としては、年齢が近い方がよい。ある程度社員100名以上の規模になったらよいが、20~30名の段階のCOOは年代が近い方が上手くいく傾向にある。
よって、ずっと歳をとるのを待つより、CEOが若い間に、少し社会人経験を持った状態で転職するのもよいだろう。
経営者を採用する傾向に
会社がある程度大きくなってきたら、経営経験のある人間を採用することが多い。代表的なのはメルカリだ。
CEOの山田氏も会社の売却経験があるが、COOの小泉氏やメルペイの青柳氏といったIPO経験のある企業の幹部として経営を握っていた人を採用している。
ベンチャーを買収して、CEOを執行役員として迎えいれ、経営陣になってもらう場合もある。ユナイテッドの花房氏や、退任したが、DeNAの村田マリ氏は、会社にそれぞれ売却をした後役員になった。
これまでは売却したら、ロックアップ期間終了後退任もあったが、経営陣として残るパターンも増えた。
コインチェック社はマネックスに買収されたが、代表がこれからどうなるか見物である。
投資銀行出身者は苦戦
中途市場では、投資銀行出身者は転職できるかというと容易ではない。投資銀行出身者は、元々の年収が高く、ベンチャーで通用するスキルを持っているわけではない。
ただし、キャッチアップするポテンシャルは一流なので、優秀な人間だと判断され採用されている。
投資銀行部門の仕事はM&Aや資金調達であるが、資金調達のやりかたも、ECMやDCMで培った方法とベンチャーがVCから調達する方法では大きく異なる。よって、またゼロから勉強しなければいけない。
当然、BSやPLを見る力は役に立つが、数字の規模が違いすぎるので苦労する人も少なくない。
投資銀行だと株式調査部門出身である、じげんCFO寺田氏のような人もいる。GSの戦略投資部門出身者もたまに見かける。
アセマネや日本国債のセールスからフィンテックでないベンチャーに転じる例、特に幹部クラスの例は少ない。
コンサル出身者は活況
一方、コンサル出身者はベンチャーで役員クラスで採用されることが多い。その理由として、給料が高くないため転職がしやすいことがある。また、コンサル出身者は金よりも面白さを優先しがちである。
また、スキルとしても、事業を作る、事業に関わるスキルが投資銀行出身者よりかはある。だが、事業会社出身者に比べると、事業創出の経験がないに等しいため苦労する人も多い。
しかし、コンサル出身者も、ポテンシャルが高いためたいていはすぐにキャッチアップできるのだ。
投資銀行出身者と比較すると、事業に関わる経験があり、かつ数字にも強いので、COOとして採用されることがあるのだ。
また、グノシーCFOの伊藤氏のようにドリームインキュベータ、ファーストリテイリング、グリーを経て、グノシーCFOになるような方もいる。
生え抜きは優遇されにくい
ベンチャーあるあるだが、生え抜きが優遇されず、中途で来た人のほうがストックオプションも多く保持し、給料も高い場合がある。
少し無理な条件を出してでも、大手企業にいる人に来てもらいたいため、このようなことが起こるのだ。
特に昨今は人材不足の状況が続いている企業が多いため、少しでも優秀な人を採用しようと給与を多く出そうとする。
こうした割を食らうのは元々ベンチャーにいる人たちである。こうした人たちには、一気に高額のオファーが出されることはない。
退職しようとするとカウンターオファーで高い年俸を提示してくるが、一度辞めようとした人を重宝する会社はそうそうないので、辞めると言ったときは辞めることを勧めたい。
ストックオプションが貰えるわけではない
取締役になると、株式やストックオプションが大量に貰えると思っている人もいるが、そういう事例は多くはない。
厳密に言うと、貰えるのだが額が極めて小さい。ほとんどが創業者とVC、エンジェル投資家が持っているため、CEO以外の取締役で、途中から参画した人は大した額にならない。
CFOクラスだと、会社の上場に大きな役割をに担うので一定数の金額を手にすることができるが、それ以外の方はお金が欲しければ自分で起業したほうがよい。

ナンバー2になるのは難しい
ナンバー2になりたいという人は多く聞く。
ニケシュアローラ氏のように後継者として迎えられるパターンが多いが、それでもナンバー2からナンバー1になるのは難しい。
孫氏の考えがかわり、ニケシュ氏は後継者になることはなかった。それでも十分な報酬は貰ったが。
ナンバー2は自分ではコントロールできない要素が多々あるので、気を付けてほしい。
私の友人で、「世界ナンバー1のナンバー2」になりたいと言っていた人がいたが、コントロールできない要素が多いという点で「世界ナンバー1のナンバー1」になるより難しいかもしれない。
給料も決して高くはない
ベンチャーの役員クラスは、取締役になれば役員報酬が開示されているので上場している企業なら給与がわかる。
上場している企業ですら決して報酬は高くないので、その報酬にありつける確率を考えると給与でベンチャーに転職するのはあまりいい選択肢ではないだろう。
夢を追いかけ、自分の力を試したいときにこそ、ベンチャーに転職してほしい。
ベンチャーで実績を残した人がベンチャー役員になれる
内部昇進の話をすると、ベンチャー企業で実績を残した人だけが昇進でき役員になれる。
下のポジションから結果を残し仕事のやり方を習得していくのは難しい。
なぜなら、ベンチャーは上司が仕事を丁寧に教えてくれるわけではないので、自分の仕事の行動様式ができる前にどんどん仕事が変化していくためベンチャーでは能力が身につきにくいからだ。
こうした状況でも確実に結果を残した人だけが昇進し、最終的に役員になれる。
ベンチャー役員を目指して
ベンチャーでは幹部採用にビズリーチを利用している。ビズリーチはベンチャー転職には必須となっている。
ビズリーチ社自体がベンチャーではかなり有望な会社であるため、横のつながりで優良ベンチャーを次々と獲得している。
ベンチャーで幹部クラスを狙う人はぜひビズリーチに登録してほしい。
またアクシスコンサルティングはコンサル出身者のキャリアを支援しているため、コンサルは飽きたという方は利用してほしい。
今日は以上だ。